「幼な子の国」
マタイによる福音書19章13〜22節
(1)幼な子の国。
「するとイエスは言われた、「幼な子らをそのままにしておきなさい。わたしのところに来るのをとめてはならない。天国はこのような者の国である」」(14)。
幼子を連れてきた人々をたしなめていた弟子たちにイエス様はこのように語りかけられました。これは当時の人々にとって驚くべきことでした。彼らにとって幼子は大人と決して対等な存在ではありませんでした。それにも関わらずイエス様は幼子こそが天国(神の国)に入るものだと示されたのです。幼子にはいくつかの特徴がありますが、一つの特徴として自分より大きな存在を知っているということです。両親を頼り、親がいなくなれば叫び求めるものです。
(2)裕福な青年。
それに対照的に裕福な青年が描かれています。裕福な青年も一見自分を低くしてイエス様に質問しています。けれどもイエス様の示された戒めに対して、「それはみな守ってきました」(20)と答えました。彼はすでに自分なりの考えや生き方を持っていました。ですから、自分が本当の意味で戒めを守れていないことに気づけなかったのです。
(3)何が足りない。
そこでイエス様は青年のうちに欠けたところ、弱さがあることを示されました。裕福な青年が財産に執着して「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」という戒めを守れていないことに気づかせたのです。私たちも裕福な青年のように弱さを認められないものであることを覚えます。私たちは幼子のように自分を低くしてイエス様の御言を素直に受け入れるものでありたいと願います。